記事入力 : 2015/09/17 08:18
主張があいまいな安保法案反対デモにひるまない安倍 日本の安倍晋三首相による第2次政権が発足してから2年9カ月かけて進めてきた安保関連法の改正作業が最終段階に差し掛かった。連立与党の自民党と公明党は7月、安保関連法案を衆議院で強行採決したのに続き、16-17日に参議院の特別委員会と本会議で可決する方針を固めた。その通りに進めば、日本は確実に「攻撃されなくても攻撃できる国」になる。 自国が攻撃された場合に限り反撃するというのが日本の伝統的な平和憲法の解釈だったが、安倍首相は昨年7月にそれを変えた。憲法自体を改正するのではなく、憲法解釈を変更するという回り道を選んだ。同盟国、周辺国が攻撃され、日本の存立が脅かされる事態には日本が攻撃されたに等しいとみなし、先制攻撃を加えることができるという閣議決定を行った。いわゆる「集団的自衛権」の導入だ。 安倍首相は続く今年4月、ワシントンでオバマ米大統領と会談し、「夏までに安保関連法案を可決させる」と約束した。法案もまだ固まっていない段階だった。野党が「国会無視だ」と反発してもひるまず、衆議院で与党単独による強行採決に踏み切った。次の段階として最後のハードルとなるのが参議院での可決だ。 東京では16日、デモ隊が国会議事堂を取り囲み、「安倍辞めろ!」と叫んだ。55年前に祖父の岸信介元首相が同様の道を歩んだ際と似た風景だった。しかし、「岸政権打倒」を叫んだ群衆が33万人だったのに対し、「安倍政権退陣」を叫んだ群衆は1万2000人にすぎなかったことが違う点だ。衆議院での強行採決直後に12万人が集まった際とくらべても10分の1の規模で、岸元首相を辞任に追い込んだ1960年の安保闘争とは比べ物にならない。 参議院特別委での質疑と採決を控え、16日には横浜市で地方公聴会が開かれた。専修大の広渡清吾教授は「平和主義、立憲主義、民主主義が危機にある」と安保関連法案を批判した。民主党、共産党の議員らは国会議事堂前のデモ隊に広渡教授の言葉を拡声器で読み聞かせ、「最後まで闘う」と宣言した。デモ隊は拍手で応じた。しかし、「どうやって闘うのか」という質問に野党もデモ隊も具体的に答えることはできなかった。 民主党の相原久美子議員は拡声器で「国民と共に歩む」と叫んだ。「どこに向かって」という説明はなかった。デモ隊のタグチトモアキさん(49・教員)は「来年選挙がある」と話した。ミヤスシュウヘイさん(45・教員)は「民意を伝え続けなければならない」と語った。ただ、誰を支持し、誰に伝えるのか主張はあいまいだった。自民党は安倍首相が率いる「一強」であり、野党民主党の支持率は1桁台だ。 朝日新聞が12-13日に実施した世論調査で、安保関連法案に「賛成」との回答は29%にすぎず、「反対」が54%ではるかに多かった。回答者の68%は「今国会で成立させる必要はない」と答えた。 そんな中でも野党は譲歩していった。15日昼に安倍首相は野党8党のうち3党の党首と会談し、安保関連法案成立への協力を取り付けた。参院特別委はその後、16日未明まで開けない状況が続き、16日午前から再開される予定となっている。 東京=キム・スヘ特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版