『別冊正論
排斥してもケロリ顔で輸入再開
私と関わりのある例を、もう一つ挙げてみよう。韓国のアニメである。かつて日本国内の人件費高騰から、日本アニメ界は、韓国に進出した。
私の知り合いでも、技術指導に行ったアニメーターは少なくない。例えば「コンバトラーV」というアニメは、韓国で製作されたものである。韓国は、日本の善意と協力によって、アニメ技術をマスターした。しかし、そのうち、例の悪い癖も出てくる。私がSF設定を担当した「宇宙戦艦ヤマト」そっくりのシリーズが登場した。「銀河(ウナ)艦隊(ハムデ)地球号(チグーホ)」という。これには、あきれた。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
「宇宙戦艦ヤマト」そっくりな「銀河艦隊地球号」
70~80年代から続く傾向なのだが、韓国は、対日貿易赤字を抱えている。ライセンス料、精密加工機器、中間原材料など多くを日本に負っているからで、それだけ、日本が韓国の発展に協力した証でもある。
ところが、奇妙で歪んだ歴史観からか、韓国では、対日赤字が許せないものに思えてきた。当時、貿易(モヨク)帝国(チェグク)主義(チュウィ)という穢(きたな)い言葉が、日本に向けて、投げつけられたものである。つまり、日本が、技術、原材料などを餌に、韓国を隷属させようとしているというのである。
しかし、韓国経済が日本に依存したのは、かれらが選択した事実であり、ことさら無視しようとするから、そこに無理が生じる。
三菱自動車のサターン・エンジンのように、ただ同然のライセンス料で、提供された技術に関しては、旧式な技術を韓国に輸出し、有利な立場に立とうとしているという言いがかりのような非難もあった。もし、ライセンス料が高額だったら、それはそれで、日本に搾取されているというような非難が、一斉に沸き起こったことだろう。
こうした際、主義主張が先立ち、冷静に事実が見えなくなるのは、韓国人の悪い癖である。日本から恩恵を受けたくないという願望からか、盧(ノ)泰愚(テウ)政権のころだったと思うが、輸入先多角化法案が成立した。つまり、日本から輸入されている部品、中間原材料などを、なるべく別な国からのものにシフトするというもので、助成金も設けられた。 Image may be NSFW.
Clik here to view.
全斗煥元大統領(右)とともに1996年、粛軍クーデターや民主化運動弾圧の罪で控訴審判決を受ける盧泰愚元大統領
法令に基づいて、これまで日本から輸入していた部品などを、まったく取引のなかった欧米メーカーから輸入してみたものの、規格が合わないケースが続出したばかりか、法外な技術料を請求される事態も起こった。韓国のほとんどの産業は、親韓的でお人よしの日本という国からの、善意あふれる協力で、これまで発展してきた。いきなり欧米からの部品に切り替えようとしても、すぐさま応用がきくわけではない。
規格が合わない部品によって、工場の操業が停止に追い込まれた例もある。また、これまで通り、日本製の部品を輸出したため、日本のメーカーの社員が、ソウルへ到着するなり逮捕される事件も起こった。日韓双方に、混乱を招いただけで、韓国経済にとって、なんの利益も生まない空しい結果に終わる。
輸入先多角化法案は、まもなく骨抜きになり、日本からの輸入に頼ることに戻ってしまった。こうした際、あれほど、日本を排斥したのが、まるで嘘だったかのように、けろりとした顔で、取引の再開を求めてきたので、あきれたという日本側担当者の感想を、耳にした。 つけ込んで生き延びる歴史 繰り返すが、このケースのように、韓国人は、主義主張が先走り、現実が見えなくなることが少なくない。意見が対立した際、日本や欧米のように、それぞれ論拠を挙げて、最善の方法を選択することが、きわめて苦手である。自分と異なる意見にでくわすと、自分の主張を押し付け、なんとしても相手を黙らせようとする。議論が成り立たない社会なのである。大声を上げ、相手を罵(ののし)り、力ずくで意見を圧殺するのが、ポピュラーな展開である。それが通じないときは、話題をすり替える。
たとえば、竹島の不法占拠でも、竹島領有の根拠を、日本側が示そうとすると、まず怒って怒鳴りちらす。しかも、日本が、もともと朝鮮王朝のものだった竹島を、日韓併合の布石として、軍事力を背景に奪い取ったのだと、頑強に主張する。
確かに、竹島を国際法上の無主地(むしゅち)として、日本が領有宣言をしたのは、明治三十八年、日韓併合に先立つこと五年である。しかし、竹島領有と日韓併合は、なんの関係もない。あの帝国主義の時代である。併合の布石として本気で奪うつもりなら、竹島では、岩山ばかりで利用価値がないから、鬱陵島(ウルルンド)か済州島(チェジュド)のほうが、軍事的に利用価値がある。 韓国側は、もともと韓国領だった獨島(トクト)(竹島)を、日本が奪ったという虚構から、出発するのだから、まったく議論にならない。それが通じないと見てとると、今度は、日本が竹島領有を主張するのは、日本で軍国主義が復活したからだと、言い返してくる。軍国主義の話をしているわけではなく、竹島領有の根拠について、議論しているつもりだが、これが韓国人相手では通じないのだ。 過酷な歴史の後遺症で、韓国人は、自国に不都合なことは、忘れようと努力する。特に、異民族から、なんらかの恩恵を受けた際には、かならず過大な対価を課せられたから、なんとしても認めないのである。認めないうちに、自分に納得させるためか、恩恵を受けても受けなかったことにしてしまう。事実と異なっても、そう考えるほうが、精神衛生上も、好ましい効果を上げる。特に日本の朝鮮統治は、実際には近代化の引き金ともなったが、それを認めると、プライドが傷つくと見えて、断固として認めない方針を貫こうとし、算盤勘定ができなくなる。
日本人としては、これまで、全て逆の対応をしてきたのである。韓国人の気持ちを忖度(そんたく)して、配慮を示すことが、日韓友好に寄与すると、錯覚したのである。だが、ここが、ボタンの掛け違いのはじまりである。
こちらの好意は、疚(やま)しさ、弱さとしか、受け取られない。強大な異民族の征服者と伍していくためには、相手の好意、譲歩などに、つけ込むしかなかった歴史である。好意、善意を示せば示すほど、言葉は悪いが付け上がる民族性なのである。
島根県が、竹島の日を制定したとき、民主党政権は、韓国を刺激することを恐れ、政府高官の派遣を手控えた。ところが、韓国からは、マスコミをはじめ、大勢が松江に押し掛け、路上で暴れまわるなど、乱暴狼藉を働く始末だった。つまり、こちらが、疚しいことがあるから、譲歩したと見てとり、かさにかかった態度に出たわけだ。 「はず」「べき」民族 韓国人は、はずべき民族である。ヘイトスピーチを始めたのではない。韓国は、“はず”と“べき”の社会ということだ。われわれは、優れている“はず”だ。日本などに、してやられる“はず”がない。竹島は、われわれのものである“べき”だ。われわれの婦女子は、日本軍など相手に、売春などす“べき”でないし、した“はず”がない。われわれの会社は、日本から技術援助されたりす“べき”でないし、された“はず”がない。そう言っているうちに、事実と“はず”、“べき”が、しだいに混同してくる。 その結果、竹島は、韓国のものになり、日本の技術提供はなかったことに、されてしまうのだ。
ここは、日本人も、声を大に叫ばないといけない。庶民は文盲が多く、王朝は人民そっちのけで権力闘争に明け暮れ、中国への事大主義にしがみついた。その朝鮮に、鉄道、工場、学校、炭鉱、発電所など、多くの社会基盤を整備したのは、まぎれもなく日本である事実を再認識してもらおう。当時、日本と韓国は併合していたのである。自国民を強制的に、軍隊相手の売春婦に仕立てたり、勝手に、殺したりすることは、許されなかった事実も、はっきり伝えよう。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
訪韓した中国の習近平国家主席を握手しながら見上げる朴槿恵大統領
戦前のことだけではない。今日、韓国が先進国並みになれたのは、自国の努力があるにしても、総じて誰のおかげかを、データを挙げて、懇切丁寧に説明しようではないか。歴史認識が、必要なのは、どっちの国かも、改めて示してやらないと、理解できないらしい。インスタントラーメンから、鉄鋼にいたるまで、すべて日本人が技術を提供したのだ。こうした事実を改めて示そう。
ここまでやらないと、眼を覚ましてくれそうにない民族であることも、厳然たる事実なのである。もし、将来、日韓友好がもたらされるとすれば、日本側が有無を言わせず強硬に振舞った後のことだろう。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
とよた・ありつね 昭和13年前橋市生まれ。父の医院を継ごうと医者をめざし、合格した東大を嫌い慶應大に入るも、目標が変わり武蔵大に入学。第一回日本SFコンテストなどに相次いで入賞して在学中の37年作家・シナリオライターとしてデビュー。手塚治虫のもとで「鉄腕アトム」のシナリオを二十数本担当。「スーパージェッタ―」「宇宙少年ソラン」の脚本も手掛ける。『倭王の末裔 小説・騎馬民族征服説』が46年にベストセラーとなる。47年東アジアの古代史を考える会創設に幹事として参画。五十年「宇宙戦艦ヤマト」の企画原案、SF設定を担当。SF作家クラブ会長、島根県立大学教授などを歴任。63年オートバイ日本一周を達成。近著に『日本の原発技術が世界を変える』『どの面下げての韓国人』(ともに祥伝社新書)など。
Image may be NSFW.
Clik here to view.

ところが、奇妙で歪んだ歴史観からか、韓国では、対日赤字が許せないものに思えてきた。当時、貿易(モヨク)帝国(チェグク)主義(チュウィ)という穢(きたな)い言葉が、日本に向けて、投げつけられたものである。つまり、日本が、技術、原材料などを餌に、韓国を隷属させようとしているというのである。
しかし、韓国経済が日本に依存したのは、かれらが選択した事実であり、ことさら無視しようとするから、そこに無理が生じる。
三菱自動車のサターン・エンジンのように、ただ同然のライセンス料で、提供された技術に関しては、旧式な技術を韓国に輸出し、有利な立場に立とうとしているという言いがかりのような非難もあった。もし、ライセンス料が高額だったら、それはそれで、日本に搾取されているというような非難が、一斉に沸き起こったことだろう。
こうした際、主義主張が先立ち、冷静に事実が見えなくなるのは、韓国人の悪い癖である。日本から恩恵を受けたくないという願望からか、盧(ノ)泰愚(テウ)政権のころだったと思うが、輸入先多角化法案が成立した。つまり、日本から輸入されている部品、中間原材料などを、なるべく別な国からのものにシフトするというもので、助成金も設けられた。 Image may be NSFW.
Clik here to view.

規格が合わない部品によって、工場の操業が停止に追い込まれた例もある。また、これまで通り、日本製の部品を輸出したため、日本のメーカーの社員が、ソウルへ到着するなり逮捕される事件も起こった。日韓双方に、混乱を招いただけで、韓国経済にとって、なんの利益も生まない空しい結果に終わる。
輸入先多角化法案は、まもなく骨抜きになり、日本からの輸入に頼ることに戻ってしまった。こうした際、あれほど、日本を排斥したのが、まるで嘘だったかのように、けろりとした顔で、取引の再開を求めてきたので、あきれたという日本側担当者の感想を、耳にした。 つけ込んで生き延びる歴史 繰り返すが、このケースのように、韓国人は、主義主張が先走り、現実が見えなくなることが少なくない。意見が対立した際、日本や欧米のように、それぞれ論拠を挙げて、最善の方法を選択することが、きわめて苦手である。自分と異なる意見にでくわすと、自分の主張を押し付け、なんとしても相手を黙らせようとする。議論が成り立たない社会なのである。大声を上げ、相手を罵(ののし)り、力ずくで意見を圧殺するのが、ポピュラーな展開である。それが通じないときは、話題をすり替える。
たとえば、竹島の不法占拠でも、竹島領有の根拠を、日本側が示そうとすると、まず怒って怒鳴りちらす。しかも、日本が、もともと朝鮮王朝のものだった竹島を、日韓併合の布石として、軍事力を背景に奪い取ったのだと、頑強に主張する。
確かに、竹島を国際法上の無主地(むしゅち)として、日本が領有宣言をしたのは、明治三十八年、日韓併合に先立つこと五年である。しかし、竹島領有と日韓併合は、なんの関係もない。あの帝国主義の時代である。併合の布石として本気で奪うつもりなら、竹島では、岩山ばかりで利用価値がないから、鬱陵島(ウルルンド)か済州島(チェジュド)のほうが、軍事的に利用価値がある。 韓国側は、もともと韓国領だった獨島(トクト)(竹島)を、日本が奪ったという虚構から、出発するのだから、まったく議論にならない。それが通じないと見てとると、今度は、日本が竹島領有を主張するのは、日本で軍国主義が復活したからだと、言い返してくる。軍国主義の話をしているわけではなく、竹島領有の根拠について、議論しているつもりだが、これが韓国人相手では通じないのだ。 過酷な歴史の後遺症で、韓国人は、自国に不都合なことは、忘れようと努力する。特に、異民族から、なんらかの恩恵を受けた際には、かならず過大な対価を課せられたから、なんとしても認めないのである。認めないうちに、自分に納得させるためか、恩恵を受けても受けなかったことにしてしまう。事実と異なっても、そう考えるほうが、精神衛生上も、好ましい効果を上げる。特に日本の朝鮮統治は、実際には近代化の引き金ともなったが、それを認めると、プライドが傷つくと見えて、断固として認めない方針を貫こうとし、算盤勘定ができなくなる。
日本人としては、これまで、全て逆の対応をしてきたのである。韓国人の気持ちを忖度(そんたく)して、配慮を示すことが、日韓友好に寄与すると、錯覚したのである。だが、ここが、ボタンの掛け違いのはじまりである。
こちらの好意は、疚(やま)しさ、弱さとしか、受け取られない。強大な異民族の征服者と伍していくためには、相手の好意、譲歩などに、つけ込むしかなかった歴史である。好意、善意を示せば示すほど、言葉は悪いが付け上がる民族性なのである。
島根県が、竹島の日を制定したとき、民主党政権は、韓国を刺激することを恐れ、政府高官の派遣を手控えた。ところが、韓国からは、マスコミをはじめ、大勢が松江に押し掛け、路上で暴れまわるなど、乱暴狼藉を働く始末だった。つまり、こちらが、疚しいことがあるから、譲歩したと見てとり、かさにかかった態度に出たわけだ。 「はず」「べき」民族 韓国人は、はずべき民族である。ヘイトスピーチを始めたのではない。韓国は、“はず”と“べき”の社会ということだ。われわれは、優れている“はず”だ。日本などに、してやられる“はず”がない。竹島は、われわれのものである“べき”だ。われわれの婦女子は、日本軍など相手に、売春などす“べき”でないし、した“はず”がない。われわれの会社は、日本から技術援助されたりす“べき”でないし、された“はず”がない。そう言っているうちに、事実と“はず”、“べき”が、しだいに混同してくる。 その結果、竹島は、韓国のものになり、日本の技術提供はなかったことに、されてしまうのだ。
ここは、日本人も、声を大に叫ばないといけない。庶民は文盲が多く、王朝は人民そっちのけで権力闘争に明け暮れ、中国への事大主義にしがみついた。その朝鮮に、鉄道、工場、学校、炭鉱、発電所など、多くの社会基盤を整備したのは、まぎれもなく日本である事実を再認識してもらおう。当時、日本と韓国は併合していたのである。自国民を強制的に、軍隊相手の売春婦に仕立てたり、勝手に、殺したりすることは、許されなかった事実も、はっきり伝えよう。
Image may be NSFW.
Clik here to view.

ここまでやらないと、眼を覚ましてくれそうにない民族であることも、厳然たる事実なのである。もし、将来、日韓友好がもたらされるとすれば、日本側が有無を言わせず強硬に振舞った後のことだろう。
Image may be NSFW.
Clik here to view.
